デリヘル運営管理術

未成年はデリヘルで雇っていい? 風営法の観点から解説

「18歳の高校生を風営法のお店で働かせても大丈夫ですか?」という質問を受けることがあります。

最近では、デリヘルにも18歳になったばかりの高校生が面接にやってきたり未成年がやって来たりします。

未成年者を風営法店舗や深夜営業のお店で働かせることは法律上問題ないのか、18歳の高校生の場合は問題ないのかなど、詳しく説明していきます。

未成年をデリヘルで雇って大丈夫?

未成年をデリヘルで雇って大丈夫?

まずは未成年をデリヘルで雇っても問題ないのか解説します。

風営法では未成年もデリヘルで働ける?

結論をいえば20歳未満でも、つまり18歳に達していれば以前は未成年とみなされていた高校生でもデリヘルで働けます。

ただし18歳に達していない未成年ではデリヘルで働けません。

ここで重要になってくるのが、デリヘルを規制する風営法です。

風営法第1条では、

善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、18歳未満の者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資する

と明文されています。

ここでの少年や年少者とは、18歳未満の者を指し、風営法では彼らや彼女らを法律で規制しています。

中学生以下は義務教育であるため、中学生以下は少年とされます。

高校生は一般的に18歳で卒業するため、18歳未満の時点では少年や少女として扱われます。

18歳・19歳は特定少年として、引き続き少年法が適用されます。

したがって、18歳の女子高校生は風営法の規制対象である18歳未満の者には該当しません。

これは、定時制や通信制の学校に通っているかどうかも関係ありません。

もともと風営法第1条の趣旨は、社会全体が健全な風俗環境を保ち、特に未成年者や若者の健全な成長を守ることにあります。

18歳未満の者はデリヘルなどのサービスや風俗店や関連施設に立ち入ることが禁止されているだけでなく、そうした場所で働くことも禁止されています。

これは未成年者が性的なサービスや接待を伴う労働環境や業務内容によって身体的または精神的な危険にさらされる可能性があるためです。

実際、未成年はまだ社会経験や判断力が不十分であり、自己保護能力も低いため、大人がしっかりと保護しなければなりません。

このような考え方から未成年ではデリヘルに勤務できないし、雇用もできないのです。

堅い言い方をすれば、風営法第1条の規定は社会全体で遵守されるべきものであり、特にデリヘルを経営する事業主や店舗経営者はその責任を強く認識し守らなければなりません。

デリヘルに限らず未成年者へのアルコール提供や淫行行為への関与などは重大な法律違反であり、厳正な処罰が科されます。

また、風俗店や関連施設が未成年者向けの広告やイベントを行うことも禁止されており、そのような行為が発覚した場合は即座に是正措置が取られます。

これらのリスクは後述しますが、いずれにしても未成年を間違ってでもデリヘルで採用してしまうのは危険な行為です。

未成年をデリヘルで雇うリスク

未成年をデリヘルで雇うリスク

若い子が人気だから、本物のハイティーンを雇えば儲かるなど未成年をデリヘルで雇いたいと考えているオーナーもいるかもしれません。

しかし、そのような行為は法律で厳しく禁止されており、未成年者を性的なサービスに従事させることは児童ポルノや児童買春に該当します。

このような違法行為に加担することは、重い刑罰を受ける可能性があります。

さらに悪評や通報、行政からの苦情、そして保護者からの訴えなどリスクは数えきれません。

ここでは想定されるリスクについてそれぞれ解説しましょう。

悪評のリスク

未成年者を雇用することで経営するデリヘルは、悪評が立つ可能性があります。

その結果、利用者が減少し、私刑を試みる人も現れるかもしれません。

たとえば、オーナーの住所特定や未成年のデリヘル嬢の個人情報さらす危険もあります。

このような状況下では、経営者は法的問題だけでなく、社会的信用も失う可能性が高まります。

未成年者の労働に関する法律違反や人権侵害が問題となり、企業イメージやブランド価値に打撃を与える可能性も否定できないでしょう。

システムを運営しているIT企業などの取引先や風俗営業の許可を与えた関係機関からの信頼を失い、ビジネスチャンスを逃す可能性も考えられます。

さらに、未成年者の存在が会社内や店内で問題視され、労働環境や労働条件に不満や不安が広がり、生産性の低下や離職率の上昇といった悪影響を招くかもしれません。

加えて社会的非難や批判に晒されるリスクもあります。

デリヘル経営者も風営法などの法令遵守だけでなく、社会的責任や倫理観に基づいた運営が求められることを肝に銘じておく必要があります。

通報のリスク

未成年をデリヘルで雇用していることが発覚すれば、当然警察に通報される可能性があります。

警察は事実関係を確認するためにデリヘルの事務所や店舗へ立ち入り調査を行い、違法なデリヘルサービスとして摘発されるリスクも考えられるでしょう。

このような事件が発生すると、お店の評判や信頼性が損なわれるだけでなく、社会的にも非常に問題視されることになり経営の継続が困難になります。

さらに、未成年者の労働に関する法律違反として厳しい罰則が科される可能性もあるでしょう。

そのため、未成年者を雇用することは警察のお世話になるということを常に考え、慎重になる必要があります。

学校や教育委員会からの苦情のリスク

学校や教育委員会からの苦情のリスク

学校の規則には多くの制限が存在します。

例えば、制服の着用義務や髪型の規定、携帯電話の使用制限など記憶にある方も多いはずです。

一部の学校では、デリヘルや風俗店は論外で、アルバイトすら禁止しているところもあります。

これは学業への影響を考慮した措置であり、生徒たちの健全な成長を願っての措置であると考えられます。

校則に明記されていなくてもデリヘルに勤務していたということが発覚すれば学校自体の評判も落ちてしまうため、未然にデリヘル店への抗議や保護者への報告、さらには警察への通報も行うでしょう。

さらに未成年でデリヘル勤務が発覚した場合、校則に規定がなくとも退学の可能性も考えられます。

そのため、雇用側は慎重に年齢確認を行い、店と本人の将来を考慮する必要があります。

一般的な仕事のアルバイトを通じて得られる経験や収入は重要ですが、それがデリヘルで学業や未来に支障をきたすことはデリヘル経営者としても避けなければなりません。

さらに教育委員会が絡んできた場合、同業者への影響も考えられ、業界内でつらい思いをする可能性も考えられます。

デリヘル業界で立場を悪くしないためにもリスクが大きいことを知っておきましょう。

親からの苦情のリスク

本人の希望でデリヘルに勤務していると言っても、両親がデリヘルで働くことに反対してお店に怒鳴り込むということも想像できます。

未成年であることを隠して入店した場合は本人も責任はありますが、それ以上に両親が感情的になっている可能性も否定できません。

一方的にデリヘルの運営会社やお店に抗議をしたり、弁護士を通じて賠償請求をしてくることすらあるでしょう。

警察、教育委員会などに通報することも考えられます。

さらに家族間の信頼関係が崩壊し、深刻な葛藤が生じる可能性があります。

両親は子どもである未成年の安全を心配し、その行動が過激になることも想像できるでしょう。

このように余計なトラブルを抱え込んだり、未成年の子の家庭を不幸にしてしまうということもリスクです。

未成年をデリヘルで雇った事件の事例

未成年をデリヘルで雇った事件の事例

実際に未成年をデリヘルで雇った事例を解説します。

ここでは新潟の事例と埼玉の事例をもとに、どのような事件が起こったのかをまとめました。

いずれも深刻なトラブルになっているケースであり、デリヘルの運営すら危うくなります。

未成年者をデリヘルで雇うことは法律で禁止されており、厳重に取り締まられています。

未成年者がデリヘルのような性風俗店で働くことは身体的、精神的なリスクが高く、社会問題として深刻な影響を及ぼす可能性があります。

このような事件が起こらないようにするためには、デリヘル業界全体での啓発活動や啓蒙活動が必要不可欠ですがそれ以上に従業員が勝手に未成年を雇わないように教育や適切な監督体制の確立も重要です。

未成年者を巻き込んだ事件は業界全体に大きな打撃を与えるだけでなく、被害者本人やその家族にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、実際の事例を知っておきましょう。

それでは新潟の事例からみていきます。

新潟のデリヘルで児童福祉法違反

2024年7月4日に起こった事例です。

新潟東警察署と新潟警察署、県警少年課は、新潟市西区内野上新町に居住する職業不詳の37歳男性を含む3人を児童福祉法違反などの疑いで逮捕しました。

逮捕された3人は、それぞれ新潟市西区内野上新町、新潟市西蒲区巻甲、新潟県燕市中川に居住しており、主犯格の37歳男性は無店舗型性風俗特殊営業者(デリヘルの業者)などに斡旋ただけでなく18歳未満の未成年と体の関係を持ったことの疑いで逮捕されました。

2人目に逮捕された35歳男性はSNSで知り合った被害に遭った少女を引き渡した疑いがあり、3人目の37歳男性は未成年と知りながらみだらな性行為を行った疑いがかけられています。

警察は別件の捜査中にこの事件を発見し、3人の逮捕に至りました。

逮捕された男性たちはそれぞれ容疑を否認または認めつつ否認しており、捜査は続けられている現在進行形の事件です。

この事件は新潟県内で大々的に報道されたことからデリヘル業界に衝撃を与え、地元では児童福祉法違反や未成年者への性的虐待といった問題に対する社会的関心が高まっているそうです。

報道では被害者やその家族、地域住民からは怒りや悲しみの声が上がっており、事件の影響は広範囲に及んでいます。

地域全体での安全対策や啓発活動が強化されており、事件の背景や原因についても詳細な調査が行われています。

この事件を契機に、児童福祉法や未成年者保護法などの法整備や施策が見直される可能性もあります。

社会全体での意識改革や啓発活動が必要とされる中、個々の責任感や道徳観も再考されるべきだという声も根強くあり、未成年のデリヘル雇用はかなりリスクのある行為であることが明るみになった事件です。

埼玉のデリヘルで風営法違反と児童福祉法違反の事例

2022年12月、埼玉県で発生した事件は、直接デリヘルで未成年を働かせた事件です。

この事件では18歳未満の女子高校生をデリバリーヘルスで働かせたとして、県警少年捜査課と所沢署の合同捜査班が風営法違反と児童福祉法違反の疑いで、風俗店の経営者である狭山市柏原に居住する32歳の男性(自称塗装業)と東京都杉並区和泉2丁目に居住する31歳の男性(自称会社員)を再逮捕しました。

再逮捕容疑は、共謀して3月26日から4月6日までの間、県内に居住する10代の女子高校生を4回にわたり、所沢と入間市内のホテルに派遣し、いずれも30代の男性客2人に性的なサービスを行わせた疑いです。

県警は共犯事件として認否を明らかにしていません。

ただ、容疑者が認める、認めないに関係なくこの事件は、未成年者を性的な目的で利用する行為が横行している問題を浮き彫りにしました。

被害者である女子高校生たちが心身ともに傷ついたことは言うまでもありません。

以前にも同様に未成年者をデリヘルで雇ったことがある狭山市のデリヘル経営者はかなり悪質といえるでしょう。

未成年をデリヘルで雇わないようにするポイント

未成年をデリヘルで雇わないようにするポイント

未成年をデリヘルで雇うことは、デリヘルのお店や会社、お客様、そして未成年の本人にとっても良くありません。

ここでは未然に未成年の子をデリヘルで雇わないための対策を紹介しましょう。

年齢を必ずチェック

年齢は必ずチェックしましょう。

運転免許証か保険証を提示してもらい、確認するようにしてください。

中には兄弟など身内の身分証を持ってくる女性もいます。保険証などの場合は顔写真がないので、必ず顔写真付きの身分証を用意してもらいましょう。その上で、生年月日を聞いて身分証のものと相違がないか確認しましょう。

ここまで徹底して対策しておいた方が、未成年を雇わない上で無難です。

従業員名簿を用意する

従業員名簿(風営法では「従業者名簿」と表現されている。)を備え付けておくことが義務化されています。

内容は次の通りです。

住所
氏名
性別
生年月日
採用年月日
退職年月日
従事する業務の内容
確認書類で生年月日及び国籍の確認をした年月日

これらを新しい子が入るたびに作ること、パスポートもしくは本籍地入りの住民票の写し、外国人の場合は在留カード等のコピーも一緒に保管しておくこと、さらにさかのぼってチェックできるよう3年は保管しておきましょう。

なお、データでも構いません。

宣伝を工夫する

行政に目を付けられないように宣伝を工夫することも重要です。

たとえば、官公庁施設や学校などの周囲200mの区域内や都道府県の条例で禁止された区域内における広告物掲示やビラ配布、人の家を訪れてのビラ配布は全てNGということを理解し、怪しい場所では宣伝をしないようにしましょう。

未成年ではない高校生をデリヘルで雇う場合弁護士と契約

未成年ではない高校生をデリヘルで雇う場合弁護士と契約

やむを得ず18歳以上の高校生をデリヘルで雇う場合は弁護士を契約しましょう。

ここではそのメリットを解説します。

風営法違反を回避

デリヘル業を運営する際には、法令遵守と安全確保が重要です。

そのためには、法律の専門家である顧問弁護士を雇うことが不可欠です。

顧問弁護士との相談により、18歳の高校生をデリヘルで雇用することで起こりうる問題を解決し、適切な判断を迅速に行うことが可能となります。

これにより、従業員や顧客からの信頼を高め、売上の向上にもつながるでしょう。

リスクに対して法的な備えができる

2つ目のメリットは、様々なトラブルに対処することが可能であるという点です。

デリヘル業界では、高校生のデリヘル嬢が客から本番行為を要求されたり、盗撮されたりする可能性があります。

弁護士が代理人として交渉を行うことで、トラブルを解決に導くことができます。

これにより、年齢にかかわらず女性キャストやスタッフが安心して働く環境を整えることができ、人員の流出を防ぐことができます。

未成年をデリヘルで雇わない対策をしっかり講じよう!

未成年をデリヘルで雇わない対策をしっかり講じよう!

今回は、デリヘルのお店で未成年を雇えるかどうかについて解説しました。

結論をいえば、未成年を雇用することはリスクでしかありません。

このリスクについて詳しくまとめました。

未成年を雇うことは法的な問題や社会的な批判、さらには経営上の様々な危険性が伴います。

特に18歳未満の雇用は厳しく規制されており、重大な法的責任を問われる可能性があります。

未成年を誤って雇わないためにも、年齢確認の徹底や従業員名簿の適切な管理など、自衛策を講じることが重要です。

さらに、顧問弁護士をつけることで、法的なアドバイスを受けながら、より安全な運営が可能になるでしょう。

このような対策を確実に実施することで、未成年雇用のリスクを回避し、適切で持続可能な事業運営を行うことができ、デリヘル業の長期に渡る成功が期待できます。