風俗店を経営する上で欠かせないのが、摘発対策です。法律を遵守せず経営されている風俗店が乱立しているため、警察も目を光らせて取り締まりを行っています。せっかく経営が軌道に乗っても、摘発されてしまっては元も子もありません。
それでは風俗店が摘発されないよう対策するには、何を注意すれば良いのでしょうか。この記事では、風俗店が必ず行うべき摘発対策について解説していきます。
目次
風俗店が摘発される原因は?
近年、テレビやインターネットで、風俗店の摘発に関するニュースを目にすることが増えました。風俗店の経営や勤務をしている人の中には、自店も摘発されてしまうのではないかと心配している人もいるのではないでしょうか。
ここでは、風俗店の摘発原因を「禁止区域等営業」「無許可営業」「年少者雇用」「時間外営業」「売春防止法違反」「公然わいせつ罪」の6つのケースから紹介します。摘発内容を確認し、摘発されないための対策を考えましょう。
禁止区域等営業による摘発
1つ目は「禁止区域等営業による摘発」です。
禁止区域での営業による摘発の原因は、地域ごとの法律や規制を無視した営業行為にあります。禁止区域は、環境保護や公共の安全を確保するために特定の業務を制限しており、これに違反すると無許可営業や不適切な業務実施と見なされ、摘発されることがあります。
企業が禁止区域で営業する理由には、規制の隙間を狙って利益を追求しようとする場合があるものの、発覚すれば法的措置や罰則を受けることになります。このような行為は、企業の信頼性にも深刻な影響を与えるため、慎重な対応が求められます。
規制を守らない営業は短期的な利益を得るかもしれませんが、長期的には企業にとって大きなリスクを伴う結果となることが多いです。
無許可営業による摘発
2つ目は「無許可営業による摘発」です。
無許可営業による摘発の原因は、主に法令違反と営業許可の未取得にあります。多くの場合、営業者が規制を無視して営業を続けたり、許可申請を怠ったりすることが原因です。
また、無許可営業が発覚する背景には、消費者保護や税務監査の強化、地域社会の安全確保といった目的があります。摘発により、営業者には罰則が科されるだけでなく、社会的信用の失墜や業務停止を招くため、事前に必要な手続きを行うことが重要です。
年少者雇用による摘発
3つ目は「年少者雇用による摘発」です。
年少者雇用による摘発の原因は、労働基準法や児童福祉法に違反するケースにあります。未成年者を法定労働時間を超えて働かせたり、危険な業務に従事させることは厳しく禁止されています。
企業が年少者を違法に雇用する背景には、労働力不足やコスト削減の目的がある場合もありますが、これが発覚すると、法的な罰則や社会的な非難を受けることになります。年少者の適正な雇用には法令遵守が不可欠であり、労働環境の安全性が最優先されるべきです。
時間外営業による摘発
4つ目は「時間外営業による摘発」です。
時間外営業による摘発の原因は、労働基準法や地域の条例に違反することにあります。多くの業種では、営業時間や営業日が法的に規制されており、許可なく時間外営業を行うと摘発の対象になります。
時間外営業は、労働者の過剰労働や消費者への影響を避けるために禁止されており、これを無視すると罰則や営業停止処分を受ける可能性があります。企業が規制を回避しようとする場合でも、法令遵守が最も重要であり、違反が発覚すると社会的信用を失うかもしれません。
売春防止法違反による摘発
5つ目は「売春防止法違反による摘発」です。
売春防止法違反による摘発の原因は、売春行為やその仲介、助長に関与することにあります。売春防止法は、報酬を得るために不特定多数の相手と性行為をすることを禁止しており、本番行為以外のサービスについては合法的に許可されています。
売春行為を助長する場所の経営や、未成年者を関与させる行為も特に重視され、厳しく取り締まられます。
デリヘルは本番行為を行わない性的サービスの提供を行っている職種であるため、そのサービスのみでは合法ですが、実際には性行為をしていることが、インターネットの掲示板などへの書き込みで発覚してしまい、それをもとに調査が入り摘発されてしまう例もあるようです。
法令遵守と監視強化が進む中で、売春防止法に基づく摘発はますます厳格に行われています。
公然わいせつ罪による摘発
6つ目は「公然わいせつ罪による摘発」です。
公然わいせつ罪による摘発の原因は、公共の場で他人に対してわいせつな行為を行うことにあります。これは、社会的に不適切であり、他人の感情や公共の秩序を害する行為として法的に禁止されています。
たとえば、公共の場所で裸になったり、性的な行為を行ったりすることなどがわいせつな行為として挙げられます。摘発されると、罰金や懲役刑などの刑事罰を受けることになります。この罪は社会的なモラルや秩序を守るために設けられており、違反すれば個人の信用を失ったり法的責任を問われることになるでしょう。
風俗店が摘発されないよう行うべき対策
上記で風俗店が摘発される原因を説明しました。ではどうすれば摘発されないで営業ができるのでしょうか。その対策について説明します。
客・従業員の年齢確認を徹底する
1つ目は「客・従業員の年齢確認を徹底する」ということです。
18歳未満の未成年者を雇用した場合は風営法違反、また、雇用した未成年者に性的サービスを提供させると児童福祉法違反となります。店側が従業員の年齢をしっかりと確認しなかったために、実は未成年で、知らないうちに児童福祉法に違反してしまっていたというケースもゼロではありません。
また、お客さんの年齢の確認も重要となります。18歳未満の者が風俗店に立ち入ることが禁止されています。こちらも知らなかったでは済まされないため、入り口に18禁の表示をするとともに、しっかり入り口で年齢確認をすることや18歳未満の者が通常利用できないような決済方法(クレジットカード決済など)の導入なども検討しましょう。
本番行為は絶対に行わない
2つ目は「本番行為は絶対に行わない」ということです。
本番行為は売春防止法という法律で禁止されています。知らないところで女の子が本番行為をしていたとしても、この法律で逮捕されるのは、「売春の管理・場所の提供・斡旋・仲介」を行った経営者や店長などの管理者となるため、「本番行為は絶対に行わない」ということをしっかり教育することが重要となります。
利用者とのトラブルを避ける
3つ目は「利用者とのトラブルを避ける」ということです。
利用者とのトラブルを避けるためには、まず契約内容や料金体系を事前に明確にし、曖昧な点がないようにすることが不可欠となります。風俗業界ではサービス内容や料金が多岐に渡るため、事前に詳細な説明を行い、利用者が受けるサービスを明確にしておくことが大切です。
料金やサービスに関して誤解を招かないよう、具体的な金額や内容を文書で提示したり、口頭での説明だけでなく書面で確認して、利用者に自分が支払う金額や受けるサービスについて十分に理解してもらってから、サービスを提供しましょう。
特に、追加料金やサービスの範囲について詳細に記載し、利用者に不安や不満を残さないようにしましょう。また、万が一トラブルが発生した場合には、早急に対応できる仕組みを整えることも重要です。
迅速かつ丁寧な対応を心掛けることで、利用者とのトラブルを最小限に抑え、信頼関係を築くことができ、結果として、営業の安定化や摘発の回避につながるでしょう。
営業時間を厳守する
4つ目は「営業時間を厳守する」ということです。
風営法では営業に合わせて営業時間が決まっています。原則として、風俗営業許可を受けた場合は午前0時から6時までの深夜営業は認められていません。
深夜営業が禁止されている理由として、夜間は人間の理性が緩みやすくなる時間であり、売春などの犯罪が起きやすくなるためです。
盛り上がったって来た時に少し気が緩むと、すぐに違反してしまいがちです。それを取り締まる側は良く理解しています。
そのため、しっかり営業時間を守ることを心がけてください。
風俗店が摘発や逮捕を避けるためには、法律を遵守して営業を行うことが基本です。特に、経営者が違法行為を行った場合、「知らなかった」という理由では責任を免れることはできません。
そのため、経営者は風俗営業に関わる法令をしっかりと理解し、常に最新の法律や規制について情報を得るよう心掛け、違反行為をしないように徹底することが求められるでしょう。
また、経営者が法律やルールを守っていたとしても、専門的な知識がないキャストや従業員が違法行為をしてしまう可能性があります。そのため、定期的に従業員やキャスト向けの講習会を開催し、業務中に守るべきルールや法律を周知することが重要となります。
この講習会で、違法行為の具体例や禁止事項を説明し、実践的な知識を深めてもらうことが大切です。さらに、講習会の内容を記録した動画や資料を保管しておくことをおすすめします。万が一、摘発された際にこれらの証拠があれば、経営者が適切な対策を講じていたことを証明する助けになる可能性があるでしょう。
つまり風俗店が法的なリスクを避けるためには、経営者自身の理解と従業員の教育がとても重要となります。日々の業務でしっかり管理するとともに、法令順守の意識を全員で高めていくことが、摘発を防ぎ、長期的に安定した営業を行うことにつながるのではないでしょうか。
風俗店が摘発された事例紹介
ここでは風俗店が摘発された事例をいくつか紹介します。
デリヘルグループ統括が逮捕
デリバリーヘルス店で女性従業員に売春をさせたとして、店舗責任者ら23人が逮捕された事件で、警視庁保安課は8日までに、売春防止法違反容疑で、グループの統括役とみられる久保田信洋(44)=東京都豊島区高田、経理責任者とされる米沢博貴(45)=豊島区東池袋=両容疑者を逮捕した。「統括管理はしていない」などといずれも容疑を否認している。
引用: 時事通信(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024070800474&g=soc)
1つ目は「売春防止法違反による摘発」の事例です。
こちらは、デリヘルで女性従業員に売春をさせたため、店舗責任者ら23人が逮捕された事件で、売春防止法違反容疑で、グループの統括役と経理責任者が逮捕されました。
このグループは女性従業員を採用する際に「本番やりますよ」などと伝え、都内4店舗で、約3年間で65億円ほどを売り上げていたということです。
デリヘルでは本番行為が禁止されていることや、売春行為を助長する場所の経営をしていたことが考えられますね。
過激サービスありのメンズエステ
7月16日、風営法違反(禁止区域営業など)の疑いで、メンズエステ店『小悪魔お姉さん』が摘発され、経営者の男性(40)が逮捕された。同店は営業禁止区域である目黒区東山のマンションの一室で、男性客に対し性的サービスを提供したとされる。
引用: yahooニュース(https://news.yahoo.co.jp/articles/dda8367e58af73cb0dacae54184e510e24088f54)
2つ目は「風営法違反(禁止区域営業など)による摘発」の事例です。
こちらは、メンズエステ店『小悪魔お姉さん』が摘発され、経営者の男性が逮捕されたという事件です。同店は営業禁止区域である目黒区東山のマンションの一室で、男性客に対し性的サービスを提供したという疑いがもたれました。
『小悪魔お姉さん』は目黒以外にも新橋や麻布など13のルームで営業する大手企業です。料金は90分で指名料を合わせて1万4000円と良心的ですが、衣装チェンジなどのオプションをつけて2万円前後と価格が上がっていきます。それ以外にも〝裏オプション〟があり、利用した人の話によると初回からセラピストが熱心に勧めてくるようで、セラピストはオプションで稼ぐシステムとなっているようです。
この後にも2件ほどメンズエステの経営者が逮捕されるという事件があり、メンズエステの摘発が相次いでいます。
メンズエステが摘発される理由としては、メンズエステは風俗店ではないためです。そのため、風俗営業が禁止されている地域開業は可能ですが、〝性的サービス〟をしているとわかれば、風俗営業と見なされて〝違法〟ということになります。現状、一部のメンズエステの営業実態はほぼ風俗に近いため、違法となり摘発されている事例が多いと考えられるでしょう。
風俗スカウトの中には“稼げるメンエス店”として過激サービスのオプションがある店を積極的に紹介している者もいて、サービスの内容は完全に風俗の内容と同じであり、風俗店で働いてきた女性からすると、サービス内容は風俗よりもソフトなのに稼げるという点でメリットがあるため、需要があるといいます。
メンズエステに縁がない人からすると、メンズエステ=風俗という印象を持っている人もいるので、実際に利用する人もしっかり認識をする必要があるかもしれません。
公然わいせつでピンサロが摘発
大阪府内の京橋と堺東エリアの歓楽街にあるピンクサロンでわいせつな行為をしたなどとして、大阪府警生活安全特別捜査隊は、公然わいせつなどの疑いで、店の実質的経営者とみられる中村真容疑者(43)=大阪市中央区東心斎橋=と、従業員と客ら男女計18人を逮捕した。府警はいずれの認否も明らかにしていない。
引用: 産経新聞(https://www.sankei.com/)
3つ目は「公然わいせつによる摘発」の事例です。
こちらは、大阪府内の京橋と堺東エリアの歓楽街にあるピンクサロンでわいせつな行為をしたなどとして、公然わいせつなどの疑いで、店の実質的経営者と、従業員と客ら男女計18人が逮捕されたという事件です。警察などは約140人態勢で営業中の3店舗を家宅捜索し、全裸で接客を受けていた客の身柄も拘束されたということです・
実質的経営者の逮捕容疑は他の従業員らと共謀し、ピンサロ2店舗において、不特定多数の前で女性従業員から男性客に対する性的サービスを全裸の状態で提供しました。また、他の従業員の男性2人は共謀し、性風俗店の禁止区域で店舗経営を行ったということです。
大手角海老グループが摘発
売春のための場所を提供したとして、警視庁は、ソープランド老舗「角海老グループ」の店舗の責任者坂口敏(48)=千葉県松戸市竹ケ花=、店長坂本大輔(39)=東京都葛飾区青戸4丁目=両容疑者と従業員の男3人の計5人を売春防止法違反(場所提供業)の疑いで逮捕し、26日発表した。
引用: 朝日新聞(https://www.asahi.com/articles/ASN8V470RN8VUTIL00S.html)
4つ目は1つ目と同様で「売春防止法違反による摘発」の事例です。
こちらの事件は、売春のための場所を提供したとして、警視庁が、ソープランド老舗「角海老グループ」の店舗の責任者、店長と従業員の男性3人の計5人を売春防止法違反(場所提供業)の疑いで逮捕したという事件です。
調査によると、容疑者の1人は「店の営業方針としてやっていた」と供述しました。グループ内で他にも複数の店舗の営業を管理する立場であり、警視庁は経営実態を調査中です。
保安課によると、容疑者らは、東京都葛飾区亀有5丁目の「亀有角えび店」で、女性従業員が不特定の客と売春すると知りながら、そのための場所を事業として提供したなどの疑いがもたれています。店側とトラブルになった客が警視庁に相談したことで摘発されたということです。
お客様からの相談により摘発された例になります。
コンカフェも違法営業で摘発される
7月17日夜、警視庁が東京・歌舞伎町のコンセプトカフェを摘発し、経営者と店長を逮捕した。女性キャストが無許可でカウンター越しに男性客に対して接待営業を行ったとされる風俗営業法違反の容疑だ。経営者は「納得できない」と否認し、店長は容疑を認めているという。
引用: yahooニュース(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/dee4f830ea28fa7b54f195c37e03e120b00c536d)
こちらは警視庁が東京・歌舞伎町のコンセプトカフェを摘発し、経営者と店長を逮捕したという事件です。女性キャストが無許可でカウンター越しに男性客に対して接待営業を行ったとされる風俗営業法違反の容疑で逮捕されましたが、経営者は「納得できない」と否認し、店長は容疑を認めているということです。
コンセプトカフェとは、特定のテーマやコンセプトに基づいてデザインされ、提供されるサービスや料理、スタッフの衣装や振る舞い、店内の雰囲気などが一貫してそのテーマに沿って営業されているカフェのことです。女性キャストが男性客を対応するメイドカフェもその一つであり、一方で男性キャストが男性客を対応するメンズコンセプトカフェも人気があります。
コンセプトカフェはカフェとは言うものの、現状夜間に営業されている店が多く、お酒等も提供されています。今回摘発された店舗もアメリカンダイナーをコンセプトとし、28万円のワインなどが提供されていたということです。
風営法では、「設備を整えて客を接待し、遊びや飲食を提供する営業」を「風俗営業」の一形態と定義し、公安委員会の営業許可を義務付けているため、無許可営業の場合はその義務に違反しているとみなされ最高で懲役2年、罰金だと200万円以下に処されるとされています。
警察庁が全国の警察に出した通達によれば、「接待」とは、特定の客やそのグループに対して、飲食に通常伴うサービスを超えるような会話やサービスを提供することと定義されています。重要なのは、カウンター越しや隣に座っているかどうかに関係なく、会話やゲームなど、さまざまな形態の接客行為が「接待」に該当する点です。
現実には、コンセプトカフェなどの営業形態は、歌舞伎町に限らず全国各地に多く存在しています。その中で、今回この店舗が警察の摘発対象となった理由はいくつかあります。まず、警視庁が捜査を開始したのは逮捕の1カ月前で、捜査のきっかけは未成年の従業員が店に出入りしているという情報でした。実際、摘発の際には17歳の少女がキャストとして働いており、補導されています。
さらに、警視庁は捜査を開始した時期にすでにその店舗で接待営業を確認し、行政指導を行っていました。この店は、3年間で約1億円の売上を記録しており、非常に人気があり、目立っていたことも警察の注目を集めた一因となったようです。経営者である28歳の女性は、店のキャストも兼ねており、その背後にある資金の流れや関係者についても調査が必要です。
また、警視庁は18歳未満の少女を違法に接待するメンズコンカフェの摘発にも力を入れており、実際、この事件の前後にも複数の店舗が摘発され、経営者や関係者が逮捕されています。
風俗店が摘発された事例をいくつか紹介しました。上記の例を参考に摘発されないような経営をしてくことが重要です。
風俗店が摘発された際の処分は?
風俗店が摘発されないための方法や摘発の事例などを紹介してきました。
ここでは実際に摘発された際の処分の内容について紹介していきます。
営業許可取り消し
1つ目は「営業許可取り消し」です。
風営法第8条にて公安委員会が許可を取り消しできる場合を4つあげられています。
- 偽りその他不正の手段により当該許可又は承認を受けたこと。
- 第四条第一項各号に掲げる者のいずれかに該当していること。
- 正当な事由がないのに、当該許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
- 3月以上所在不明であること。
「②」は風俗営業の許可を受けるために満たすべき要件のことで、風俗営業の経営者又は役員等が該当していてはならない人的欠格要件を意味しています。
「欠格要件に該当した場合」であっても、速やかに改善や修正が行われ、実際に改善されている場合、または悪意がない場合や違反がごく軽微な場合を除いて、許可が取り消されることがあります。
営業停止命令
2つ目は「営業停止命令」です。
風営法第26条にて公安委員会は風俗営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができると定められています。
①法令及び条例に違反し、しかも著しく善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全の育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき
風俗営業者が法令違反をした場合、営業許可を与えた公安委員会は、その事業者に対して様々な処分を行うことができます。具体的には、「営業許可を取り消せ」と命じることができ、また「一定期間(最大6か月)営業停止せよ」と指示することもできます。さらに、違反が軽微な場合には、「このように改善しなさい」と指導することも可能です。
②風営法にもとづいて行なれた公安委員会の処分に違反したとき
公安委員会が営業停止や指示を行った後、営業者がその処分に従わず営業を続けたり、指示を守らなかった場合、公安委員会はさらに厳しい行政処分を科すことができます。
③公安委員会が定めた風俗営業許可の条件に違反したとき
風俗営業の許可を与える際や、風俗営業者の周囲に特別な事情(例:営業所近くに保全対象施設が設置された場合)が発生した際、公安委員会は許可に条件を付けることがあります。その条件に違反した場合、公安委員会は行政処分を行うことができます。
指示処分
3つ目は「指示処分」です。
「指示」とは、風俗営業者が違反行為を防止したり、違反状態から改善するための具体的な措置を示す行政処分で、営業者に自主的に対応させることを目的としています。
この指示を受けた営業者は、その内容に従うことで、問題を解決することが求められます。指示に従えば、通常、営業停止などの重い処分を避けることができます。
ただし、特例風俗営業者として認定されるためには、過去10年間に指示処分を含む行政処分を受けていないことが条件となります。このため、過去に指示処分を受けた営業者は特例認定を受けることができない可能性があります。
また、同じ種類の違反を短期間に繰り返した場合、指示だけでなく、営業停止などの厳しい処分が科されることになります。これにより、営業者は再発防止に努めることが求められます。
指示は「比例原則」に基づき、営業者に過度な負担をかけないように行われるため、状況に応じて適切な対応が求められます。
指示の内容には、具体的な改善策や今後の違反を防止するための対策が示されます。例えば、「〇〇を一定期間内に実施し、その結果を報告せよ」といった具体的な期限や内容が含まれます。
もし指示通りに報告をしなかったり、改善策を実行しなかった場合、それ自体が指示違反と見なされ、別の処分が科されることになります。したがって、指示を受けた営業者は、指示内容を十分に確認し、指定された期限内に必要な対応を確実に実施することが非常に重要です。
「指示処分」の状態で改善できるようにすることで、経営を続けられる可能性が高まるので、しっかりと見直すことが重要ですね。
客も摘発対象になる?
風営法違反で風俗店が警察に摘発された際にその場にいたお客様も逮捕されるのか?という疑問がわく方もいるかもしれません。
風営法は基本的に営業者に対する規制であり、お客様を処罰するために制定された法律ではありません。そのため、居合わせたお店が無許可営業や時間外営業などの風営法違反で摘発をしたとしても、逮捕や処罰されるのはお店側や営業者となります。
また、性的サービスを提供するお店の場合は「売春防止法に引っかかるのではないか?」という内容に関しては、売春そのものは違法ですが、売春をしている女性については公衆の場で客引きをしたということでもない限り処罰されることは基本的にはありません。
ただし、相手の女性が、18歳未満であることを知りながら性交などを行った場合は児童買春や児童ポルノ禁止法よって違反となってしまうことがあり、処罰されてしまう場合があります。そのため、従業員の女の子の身分確認をしっかりすることが自分の身を守るためにも重要となります。
お客様が逮捕されるリスクとして最も高いと考えられるのが、ピンサロです。ピンサロは1号営業の許可、つまり横に座ってお客をしたり、カラオケでデュエットしたりというような接待行為のみができる飲食店となっているので、風俗のような性的サービスはできません。
もし、その店舗が摘発された際に、局部を露出していたとしたら、公然わいせつ罪の現行犯として逮捕されてしまう可能性が考えられます。
摘発をされたくないのであれば、必ずどのような営業形態をしているお店なのか、そのお店の営業内容は問題ないか確認してから行くようにしましょう。
摘発対策をしっかり行い健全な風俗店を経営しよう
風俗店が行うべき摘発対策は?という内容で説明してきました。
風俗店が摘発されるのにはいくつかのパターンがあります。摘発された事例も紹介してきたので、この事例を参考に対策を講じておきたいです。
特に営業時間を厳守する、しっかりと届出を提出する、未成年を雇用しないようにする、といったことを意識すれば、大抵の場合摘発を未然に防止できます。
摘発されてしまっては元も子もありません。摘発されないよう、この記事を読み返してしっかり対策をとりましょう。
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