2026年10月29日、銀座の高級クラブNanaeのオーナーである唐沢菜々江氏が、同店舗に対して60日間の営業停止処分が下されたことを自身のYouTubeチャンネルで公表しました。営業停止期間は10月30日から12月28日までです。
今回の処分の発端となったのは、2026年1月に発生した業務委託スタッフによる路上でのスカウト行為です。このスタッフが女性に対してスカウトを行い、迷惑防止条例違反として警察の捜査を受けました。その後、スタッフや代表取締役などが事情聴取を受け、店舗の営業停止処分が決まりました。
唐沢氏は今回の件について謝罪し、オーナーとして法令への理解やスタッフへの管理・教育が不十分だったことを認めています。
風俗店経営者にとって、今回の事例は他人事ではありません。特に注意すべきなのは、違反行為をしたのが正社員ではなく、業務委託スタッフだったという点です。
風俗店ではスカウトや広告運用などを外部に委託するケースもありますが、委託先の違法行為が店舗の営業停止につながる場合もあります。
今回の処分は逮捕とは異なりますが、約2か月間の営業停止は売上や従業員の雇用、顧客との関係にも大きな影響を与えます。安定した店舗経営を続けるためにも、スタッフの管理体制や法令遵守の徹底が重要です。
風俗店経営者が注意すべき7つの法律違反

風俗店を経営するうえで、法律違反による営業停止や逮捕は避けなければならないリスクの一つです。風営法だけでなく、各自治体の条例や職業安定法、売春防止法など、店舗運営にはさまざまな法律が関係しています。
違反内容によっては、経営者自身が直接関与していなくても、店舗が行政処分を受ける場合があります。ここでは、風俗店経営者が特に注意しておきたい7つの法律違反について解説します。
①路上での違法なスカウト・客引き行為
風俗店の集客や女性の採用において、路上でのスカウトや客引きを利用する場合は注意が必要です。
風営法や各自治体の迷惑防止条例では、一定の客引き行為や勧誘行為を禁止しています。例えば東京都では、公共の場所で風俗店への勤務を勧誘する行為などが、態様や目的によって条例違反となる場合があります。
今回のクラブNanaeの営業停止処分も、業務委託スタッフによる路上でのスカウト行為が発端でした。
経営者が直接スカウトを行っていなくても、店舗のために活動するスタッフの違法行為が行政処分につながることがあります。
そのため、外部のスカウト業者を利用する場合も、採用方法や活動内容を確認しておくことが重要です。特に、路上での勧誘を行っていないか、違法な方法で女性を集めていないかを把握し、問題があれば速やかに是正する必要があります。
②無許可営業・禁止地域や営業時間の規制違反
風俗店を営業するには、業態に応じた許可や届出が必要です。店舗型性風俗特殊営業と無店舗型性風俗特殊営業では適用される規制が異なり、必要な手続きを行わずに営業すると法律違反となる場合があります。
また、店舗型の風俗店では営業できる地域が制限されており、学校や病院などの周辺では営業が禁止されるケースもあります。営業時間についても、業態や地域によって規制が異なります。
注意したいのは、開業時に必要な手続きを済ませていても、その後の営業内容が届出事項や法令に適合しているとは限らないことです。
例えば、店舗の所在地や営業方法を変更した際には、変更内容に応じた手続きが必要になる場合があります。
経営者は開業時だけでなく、営業開始後も許可・届出の内容と実際の運営状況が一致しているか、定期的に確認しておくことが大切です。
③違法なスカウトへの紹介料・スカウトバックの支払い
風俗店では、女性を採用するために外部のスカウト業者を利用し、紹介した人数や売上に応じて報酬を支払うケースがあります。
しかし、スカウトへの紹介料やスカウトバックは、紹介先の業態や勧誘方法、契約内容によって法律違反となる場合があります。
特に注意したいのが、2025年6月に施行された改正風営法です。この改正では、性風俗店が一定のスカウト業者などに対して、求職者の紹介に関する対価を支払う行為が禁止されました。
そのため、これまで利用していたスカウト業者との取引であっても、現在の法律に適合しているか確認する必要があります。
採用を外部に任せきりにせず、紹介元の事業内容や報酬の支払い条件を把握することが重要です。違法なスカウトバックを防ぐためにも、契約内容や支払い履歴を定期的に確認しておきましょう。
④18歳未満の従業員の違法な雇用
風俗店では、18歳未満の従業員を接客業務などに従事させることが法律で制限されています。
特に性風俗関連特殊営業では、18歳未満の者を客に接する業務に従事させることなどが禁止されています。業態や仕事内容によって適用される規制は異なりますが、年齢確認を怠ると重大な法律違反につながるおそれがあります。
採用時には、運転免許証やマイナンバーカードなどの公的な本人確認書類を使用し、生年月日を確認することが重要です。
また、応募者から聞いた年齢をそのまま信用するのではなく、書類の真正性や本人との一致も確認する必要があります。
年齢確認の方法を店舗内で統一し、確認記録を適切に管理することで、採用担当者による確認漏れを防ぎやすくなります。
⑤外国人従業員の不法就労助長
外国人を雇用する風俗店では、在留資格と就労可能な業務の確認が欠かせません。
外国人が日本で働けるかどうかは、在留資格や就労制限の有無によって異なります。例えば、留学生が資格外活動許可を取得していても、風営法上の一定の営業に関する業務には従事できません。
就労が認められていない外国人を働かせた場合、雇用した事業者が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
経営者が在留資格の制限を十分に理解していなかった場合でも、必要な確認を怠っていれば責任を問われることがあります。
外国人を採用する際には、在留カードの有効期限や就労制限の有無を確認し、実際に担当する業務が認められているかを判断することが重要です。
⑥売春などの違法行為の容認・助長
風俗店を経営する際には、提供するサービスが売春防止法などに違反していないかを確認する必要があります。
日本では売春防止法により、売春をさせる目的での勧誘や周旋、売春場所の提供などが処罰対象となっています。
例えば、店舗側が売春に利用されることを知りながら場所を提供した場合、売春防止法違反に問われる可能性があります。
従業員と利用客の間で行われた行為だからといって、店舗側が必ず責任を免れるわけではありません。一方で、従業員が違法行為をしたという事実だけで、経営者の刑事責任が自動的に成立するわけでもありません。
経営者はサービス内容を明確に定め、違法行為を指示・容認しない運営体制を整える必要があります。現場の状況を把握し、問題が発覚した際に適切に対応できる仕組みも重要です。
⑦悪質な料金請求や強引な営業行為
風俗店では、料金の説明不足や強引な営業行為が法律違反につながる場合があります。
特に注意したいのが、利用客に料金を十分に説明せず、高額な請求を行うケースです。料金について虚偽の説明をしたり、利用客を威迫して支払いを求めたりした場合、行為の内容によっては風営法や刑法などに抵触する可能性があります。
また、2025年の風営法改正では、接待飲食営業における料金に関する虚偽説明や、客の恋愛感情などにつけ込んだ一定の営業行為に対する規制も強化されました。
ただし、こうした規制は業態によって適用範囲が異なるため、自店舗に適用される法律を確認する必要があります。
料金表や追加料金の条件を明確にし、利用客に事前説明を行うことが大切です。従業員によって説明内容が変わらないよう、接客マニュアルを整備しておくことも有効です。
スタッフが勝手にやったでは通用しない?風俗店経営者が問われる責任

風俗店を経営するうえで注意したいのが、従業員や業務委託スタッフによる法律違反です。経営者自身が違法行為を指示していなくても、店舗が営業停止などの行政処分を受ける場合があります。
ただし、スタッフの違法行為によって経営者が必ず逮捕されるわけではありません。行政処分と刑事責任では判断基準が異なります。ここでは、風俗店経営者が理解しておくべき法的責任について解説します。
従業員・業務委託スタッフの法律違反で店舗が営業停止になるケース
風俗店では、従業員だけでなく、スカウトや広告運用などを担当する外部スタッフの行為にも注意が必要です。
今回のクラブNanaeの事例では、業務委託契約を結んでいたスタッフによる路上スカウトが迷惑防止条例違反として捜査され、店舗が60日間の営業停止処分を受けました。
業務委託契約を結んでいるからといって、店舗側が必ず行政処分の対象外になるわけではありません。実際の業務内容や店舗との関係、違反行為の内容などによって判断が変わります。
例えば、店舗の採用活動を外部業者に任せている場合でも、違法な方法で女性を勧誘していないか確認することは重要です。
経営者は契約形態だけで判断せず、委託先がどのような方法で業務を行っているのか把握する必要があります。契約書に禁止事項を明記するだけでなく、定期的に活動内容を確認する体制を整えておくことが大切です。
経営者が違法行為を知らなかった場合も責任を問われる?
スタッフが経営者に無断で違法行為を行った場合、経営者がどこまで責任を負うのかは重要な問題です。
まず、刑事責任については、経営者が違法行為を指示していたか、違法性を認識して関与していたかなど、個別の事情によって判断されます。
そのため、スタッフが法律違反をしたという理由だけで、経営者が自動的に逮捕されたり、有罪になったりするわけではありません。
一方、行政処分については考え方が異なります。適用される法律や違反内容によっては、経営者自身の刑事責任が認められなくても、店舗に営業停止などの処分が下される場合があります。
経営者として重要なのは、違法行為を知らなかったと説明することよりも、日頃から違反を防ぐ管理体制を整えておくことです。
従業員への教育内容や業務委託先への指示、定期的な確認結果を記録しておけば、問題が発生した際にも店舗の管理状況を客観的に説明しやすくなります。
営業停止・許可取消し・逮捕の違いとは?
風俗店の法律違反によって生じるリスクには、営業停止や許可取消しなどの行政処分と、逮捕・刑事罰があります。
営業停止は、法律違反などを理由に一定期間の営業を禁止する行政処分です。処分期間中は対象となる営業を行えないため、売上の減少や従業員の離職など、経営に大きな影響が出ることがあります。
許可取消しは、取得していた営業許可を取り消す処分です。許可が必要な営業を継続するには、改めて法令上の要件を満たす必要があり、事業の継続が難しくなる場合もあります。
一方、逮捕は犯罪の疑いがある人物の身柄を拘束する刑事手続きであり、行政処分とは異なります。逮捕されたからといって、有罪が確定したわけではありません。
また、風俗店の業態によっては許可制ではなく届出制が採用されているため、適用される行政処分も異なります。
経営者はそれぞれの違いを理解し、自店舗にどのような規制や処分が適用されるのかを把握しておくことが重要です。
風俗店経営者が営業停止・逮捕リスクを減らすための5つの対策

風俗店を安定して経営するには、売上や集客だけでなく、法律違反を防ぐための管理体制を整えることが重要です。
今回のクラブNanaeの事例でも、業務委託スタッフによる違法なスカウト行為が発端となり、店舗が営業停止処分を受けました。経営者自身が現場のすべてを把握することは難しいものの、スタッフに任せきりにしてよいわけではありません。
ここでは、風俗店経営者が日頃から取り組んでおきたい5つの対策について解説します。
①スカウト・客引きに関する禁止事項を明確にする
風俗店の採用や集客では、スカウトや客引きに関する法律を正しく理解しておく必要があります。
特に路上でのスカウト行為は、地域や勧誘方法によって迷惑防止条例などに違反する場合があります。店舗の売上や採用人数を増やすためであっても、違法な方法を認めることはできません。
経営者は、どのような勧誘方法が禁止されているのかを確認し、従業員や業務委託スタッフに具体的なルールを伝えることが重要です。
例えば、公共の場所での勧誘行為について、禁止される場所や行為の内容を整理し、採用担当者が判断に迷わないようにしておく必要があります。
また、外部のスカウト業者を利用する場合は、契約前に営業方法を確認し、違法な勧誘を行わないことを契約条件に含めることも大切です。
②業務委託スタッフを含む全従業員への法令遵守教育を徹底する
風俗店では、正社員やアルバイトだけでなく、業務委託スタッフにも法令遵守のルールを共有する必要があります。
今回のクラブNanaeの事例からも分かるように、業務委託スタッフによる違法行為が店舗の営業停止につながる場合があります。
そのため、雇用形態によって教育内容に差をつけるのではなく、店舗の営業に関わるスタッフ全員が守るべきルールを明確にすることが重要です。
具体的には、採用時や契約時に禁止行為を説明し、定期的な研修を実施する方法があります。
また、法律や条例が改正された際には、変更内容をスタッフに共有する必要があります。
口頭で説明するだけでは認識の違いが生じることもあるため、研修資料や業務マニュアルを作成し、教育の実施記録を残しておくと管理しやすくなります。
③採用・スカウト方法や紹介料の支払いを定期的に確認する
風俗店では、女性の採用を外部のスカウト業者や紹介会社に依頼するケースがあります。
しかし、採用を外部に任せている場合でも、紹介方法や報酬の支払いが法律に違反していないか確認する必要があります。
特に2025年の風営法改正では、性風俗店が一定のスカウト業者などに対して求職者の紹介料を支払う行為が禁止されました。
以前から取引している業者であっても、現在の法律に適合しているとは限りません。
経営者は、紹介元の事業内容や契約条件、報酬の支払い方法を定期的に確認することが重要です。
また、採用経路を記録しておけば、問題が発生した際にも紹介元や契約内容を確認しやすくなります。
採用人数を増やすことだけを優先せず、適法な採用方法を継続できる仕組みを整えておくことが大切です。
④違法行為を早期発見できる管理・報告体制を整える
法律違反を防ぐためには、スタッフへの教育だけでなく、問題を早期に発見できる管理体制も必要です。
例えば、採用担当者が独自の判断でスカウト業者と契約したり、店舗が認めていない営業方法を使用したりするケースも考えられます。
こうした問題を防ぐには、業務内容や契約条件を定期的に確認し、責任者が現場の状況を把握できる仕組みを整えることが重要です。
また、スタッフが違法行為を発見した際に、経営者や管理責任者へ報告できる窓口を設けることも有効です。
問題が発覚した場合は、事実関係を確認し、必要に応じて問題のある業務を停止するなど、速やかに対応する必要があります。
違反を報告したスタッフが不利益を受けないようにすることも、適切な管理体制を維持するうえで大切です。
⑤風営法や自治体条例を定期的に確認する
風俗店に関係する法律や条例は、社会情勢や業界の問題を背景に改正されることがあります。
特に風営法は2025年に改正され、悪質な営業行為やスカウトバックに関する規制が強化されました。
そのため、開業時に法律を確認しただけでは、現在の規制に対応できていない場合があります。
また、風俗店の営業に関する規制は全国一律ではありません。営業地域によって適用される条例が異なるため、店舗所在地の規制を確認する必要があります。
経営者は警察庁や各都道府県警察の公表資料などを定期的に確認し、法改正があった際には営業方法や社内ルールを見直すことが重要です。
判断が難しい場合は、風営法に詳しい弁護士や、許可・届出業務を扱う行政書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
風俗店経営では法令遵守を心がけよう
今回のクラブNanaeの営業停止処分は、業務委託スタッフによる違法なスカウト行為が発端となりました。
風俗店経営者にとって重要なのは、経営者自身が法律を守るだけでなく、従業員や業務委託スタッフを含めた店舗全体で法令遵守を徹底することです。
風俗店では、スカウトや客引き、従業員の採用、営業許可・届出、サービス内容など、さまざまな場面で法律上の規制が関係します。
違反内容によっては、営業停止や許可取消しなどの行政処分だけでなく、刑事責任を問われる場合もあります。
営業停止となれば、その期間は対象となる営業から売上を得られなくなり、固定費の負担や従業員の離職など、経営への影響も避けられません。
安定した店舗経営を続けるためにも、法律や条例を正しく理解し、スタッフへの教育や業務委託先の管理を徹底することが大切です。
今回の事例をきっかけに、自店舗の採用方法や営業体制に問題がないか、改めて確認しておきましょう。
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